米中関税戦争の行方は?

 突然のトランプ関税の宣言の混乱から、関税導入の90日の延長により報復関税を掛けた中国だけが高関税になるいう奇妙な事態になっています。

 そんな現状から今後、どういう展開を見せてどこに落ち着くのか見ていきたいと思います。

まずはタイムラインを見てきましょう。

① 【2018年】トランプ政権、関税発動で火蓋を切る

  • 2018年3月:トランプ大統領が「鉄鋼25%・アルミニウム10%の関税」を発表(中国を含む全世界対象)。
  • 2018年7月:米国が中国製品340億ドル分に対して25%の関税を発動 → 中国も即座に報復関税
  • その後、米中はさらに 追加で数千億ドル規模の関税 をかけ合うエスカレーション。

② 【2019年】交渉と激化を繰り返す

  • 2019年5月:交渉決裂。トランプ政権が中国製品2000億ドル分の関税率を10%→25%に引き上げ。
  • 2019年8月:米国、「すべての中国輸入品」に追加関税をかける計画を発表(約3000億ドル規模)。
  • 中国は**人民元を意図的に下落させた疑い(為替操作国認定)**を受け、さらに対立が深まる。

③ 【2020年1月】「第一段階合意」成立

  • 両国は対立緩和を目指し、部分合意に至る。
  • 【第一段階合意】の主な内容
    • 中国がアメリカ産農産物を大量購入することに合意
    • 知的財産権の保護強化
    • 一部関税の引き下げ

※ただし、本質的な問題(産業補助金、技術移転強要など)は未解決のまま。


④ 【2020年以降】コロナ禍+米中対立再燃

  • 新型コロナウイルス拡大で一時的に関税問題は後退。
  • しかしその後、
    • ハイテク分野(ファーウェイ制裁)
    • 台湾問題(TSMCなど) などを巡って米中対立はむしろ長期化していく。

⑤ 【2025年】トランプ再登場で再燃の兆し

  • トランプ氏が再び関税強化を公約に掲げ、
  • 特に「中国以外」からの輸入にも広く関税を課す可能性(普遍的関税案)が議論に。
  • 市場は再び米中貿易摩擦の激化を警戒中。

🔥 米中関税戦争の本質は?

単なる貿易赤字是正ではなく、

✅ 技術覇権争い(AI、半導体、5G)
✅ 国際ルールを巡る主導権争い
✅ イデオロギー対立(民主主義 vs 権威主義)

が根底にあるため、「部分的な合意」では根本的な解決は難しいというのが専門家の共通見解です。

今後の方向性は?

① 短期(2025年内)

  • 対立はさらに強まる可能性が高いです。
    • トランプ政権は「追加関税」をさらに拡大する構え。
      • すでに中国製品だけでなく、メキシコ・EUなど広範囲な関税政策を検討中。
    • 中国側も報復関税を辞さない姿勢を示しています。
  • 市場は「米中デカップリング(分断)」を前提に動き始めている。

📈→ 株式市場ではボラティリティ(値動きの激しさ)増大
💱→ 円高リスク再燃・人民元安加速の可能性


② 中期(2026〜2028年ごろ)

  • 限定的な「部分合意」はあるかもしれません。
    • 例えば農産物やエネルギー取引など、互いに利益がある分野では小規模な合意が成立する可能性。
  • しかし、**核心的な対立(半導体・AI・軍事技術)**については譲らない。
  • 技術・サプライチェーン分野ではさらに中国排除の流れが強まる(アメリカ・日本・欧州が一体化)。

③ 長期(2030年以降)

  • 最終的には、**米中は事実上の「経済ブロック化」**へ向かうと見る専門家が多いです。
    • アメリカ陣営:日・欧州・インド・台湾などと連携
    • 中国陣営:ロシア・中東・一部アジア・アフリカ諸国
  • 世界経済は「2つの経済圏」に分かれて進んでいく可能性が高いです。

個人投資家が取るべき行動は?

① 資産の「地域分散」を進める

  • アメリカや中国だけに集中すると大きなリスク。
  • 具体的には:
    • 米国株だけでなく、日本株・インド株・ASEAN株にも資金を分散
    • 新興国投資も「米中以外」の国(インドネシア、ベトナムなど)を意識する

✏️「どこか1国に頼らないポートフォリオ」が基本!


② 「防御力の高い企業」に投資する

  • 米中摩擦が激化すると世界経済がスローダウンします。
  • そんな中でも安定収益が期待できる企業=ディフェンシブ銘柄に注目。 例)
    • インフラ系(電力・ガス)
    • ヘルスケア(医薬品・医療機器)
    • 食品・日用品メーカー

✏️「世界が不安定でも必要とされる商品・サービス」を持つ企業が強い!


③ 為替リスクに注意する

  • 貿易摩擦で「ドル安・円高」が進むリスクが常にある。
  • 米国株メインの人は、為替ヘッジ付き商品や、円資産もある程度持っておくと安心。

✏️特に円高局面では、米国株が目減りすることに注意。


④ 一喜一憂しない、長期目線を持つ

  • 米中摩擦は長期戦になります。
  • 日々のニュースで株価が乱高下しても、焦って売買しないことが超重要

✏️タイミングを計るより、コツコツ積立・長期ホールドが王道。


🌟 個人投資家向けまとめ

やるべきこと理由
地域分散投資を進める米中依存リスク回避
ディフェンシブ銘柄を組み込む景気悪化耐性
為替リスクに備える円高ショック回避
長期的な視野を持つ短期乱高下に振り回されない

まとめ

 労働者、個人投資家の両面から、米中対立は経済、金融に大きな不確定要素であるため落ち着いてほしい願望がありつつ、経済戦争と同時に世界の覇権争いの意味を含んでおり、中国の暴走を許さないアメリカと世界を牛耳ることを目論む中国を対立が将来にわたり続くのは避けられないでしょう。

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