コメ担当大臣は石破政権の救世主になり得るか?

 直近、江藤農林水産大臣が講演会での失言により更迭され、小泉新大臣に代わりました。

 前回の自民党総裁選でのやり取りでも力不足を露呈したものの、メディア受けの良さからか連日報道されています。

 農林水産大臣の変更によりコメ価格の安定化、更には石破政権の支持率浮揚の飛び道具になり得るのかを見ていきたいと思います。

そもそもコメ価格はなぜ高騰しているのか?

🌾 コメ価格高騰の主な要因

1. 異常気象による収穫量の減少

2023年の猛暑や異常気象の影響で、コメの収穫量が大幅に減少しました。高温障害により品質も低下し、供給不足を招いています。

2. 長年の減反政策と生産力の低下

1970年代から続く減反政策により、水田面積と生産量が縮小しました。政策は2018年に形式上終了しましたが、実質的な影響は継続しており、供給力の低下を招いています。

3. 農業従事者の高齢化と担い手不足

農業従事者の高齢化が進み、後継者不足が深刻化しています。これにより生産体制が脆弱化し、供給の安定性が損なわれています。

4. インバウンド需要の急増

コロナ禍明けの観光客増加により、外食産業を中心にコメの需要が急増しました。これが需給バランスをさらに悪化させ、価格上昇の一因となっています。

5. 流通構造の変化と在庫管理の問題

政府の備蓄米放出が行われましたが、JAなどの大手卸売業者に限定されたため、スーパーへの供給が遅れました。これにより市場への流通が滞り、価格高騰を抑制できませんでした。

6. 生産コストの上昇

肥料や燃料費、輸送費の高騰が生産コストを押し上げ、その分が価格に転嫁されています。


🛒 政府の対応と今後の見通し

新たに就任した小泉進次郎農林水産大臣は、コメ価格の高騰を受け、政府備蓄米を市場に迅速に供給する方針を打ち出しました。具体的には、5kgあたり3,000円未満での販売を目指し、6月初旬までに供給を開始する予定です。

しかし、これらの対策が価格の安定化にどこまで効果を発揮するかは不透明です。構造的な問題の解決には時間がかかると見られています。

コメ価格が下がれば、石破政権の支持率は上がるか?

✅ 支持率にプラスの影響を与える可能性

1. 消費者の家計負担が軽減される

  • コメは日本人にとって主食であり、生活に直結した物価項目です。
  • 価格が高騰している状況で政府が「価格を下げる」成果を出せば、庶民感覚に寄り添った「成果」として評価されやすくなります。
  • 特に低所得層や高齢者層からの支持を得やすくなります。

2. 「生活密着型政策」が成功したという印象を与える

  • 石破茂氏は地方・農村にも支持基盤があるため、農業政策や物価安定策の成果を前面に出すことが可能です。
  • 「消費者に優しい・現実的な政権」という印象が強まれば、無党派層や主婦層の一部に支持が広がる可能性があります。

🚧 ただし影響は限定的:以下のような課題も

1. コメ価格の下落が一時的な措置なら効果は薄い

  • 政府備蓄米の放出などによる「一時的な価格安定」は選挙前の“人気取り”と見なされるリスクもあります。
  • 「根本的な改革(担い手対策・農業の構造改善など)」が見えなければ評価されにくい。

2. 農家・農業団体からの反発もある

  • 価格下落は農家の収入減を意味し、農村票に悪影響を及ぼす可能性も。
  • 特に自民党に長年近かった農業団体(JAなど)からの支持を失うリスクも孕みます。

3. 支持率は他の要因に左右されやすい

  • 経済全体の動向(株価・為替・雇用)や外交・安全保障政策、与野党のスキャンダル、リーダーシップ評価などの方が支持率に与える影響は大きい傾向があります。

🔍 まとめ

要因支持率への影響
コメ価格の下落(消費者目線)ややプラス ✅
コメ価格の下落(農家目線)マイナス要素も ⚠️
一時的な政策か構造改革か影響の大きさに差
他の政治課題(外交、経済など)より強く影響する可能性大

 上記のようなさまざま面からみていくと、コメ政策による石破政権の支持率向上への寄与は小さいかと思われます。

 消費者には一定数受けると思われますが、地方の山間部の選挙区では逆にJAを中心とした組織票は下がる可能性があるため、心もとないですね。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

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