トランプ米大統領の4/2の記者会見で関係国に「相互関税」という名の「報復関税」を掛けました。関税とトランプ政権の経済方針について記述したいと思います。
報復関税とは
報復関税(ほうふくかんぜい)とは、ある国が自国に対して不当な関税措置や貿易制限を課してきた場合に、その対抗措置として相手国からの輸入品に対して課す追加の関税のことです。簡単に言うと「やられたから、やり返す」という形の関税です。
具体的に言うと…
たとえば、国Aが国Bからの鉄鋼製品に高い関税をかけたとします。国Bはそれに対して「不公平だ!」と考え、報復として国Aからの農産物に高い関税をかける。これが報復関税です。
目的は?
- 相手国に「やりすぎると損するよ」と圧力をかける
- 自国の産業を守る
- 公平な貿易環境を取り戻す
問題点は?
- 報復合戦になると「貿易戦争」に発展する可能性がある
- 最終的に損するのは消費者(価格が上がる)
- 国際関係が悪化する恐れも
最近の事例
報復関税の最近の事例として、2025年初頭から複数の国々が関税措置を巡って対立しています。以下に主な事例をまとめます。
カナダの報復関税
2025年4月3日、カナダのマーク・カーニー首相は、アメリカが自動車輸入に対して25%の関税を課したことへの対抗措置として、アメリカ製自動車に同率の25%の関税を課すと発表しました。これにより、カナダの自動車産業に影響が出ており、ステランティス社はウィンザー組立工場を2週間閉鎖し、3,600人の従業員が影響を受けています。 AP News
中国と欧州連合(EU)の対応
同じく2025年4月3日、アメリカが全輸入品に対して10%の関税を課すと発表したことに対し、中国とEUは強く反発し、報復措置を検討していると報じられました。特に中国は、アメリカからの輸入品に対して34%の関税を課すと発表し、これにより世界の株式市場が大きく下落しました。 New York Postザ・ガーディアン
メキシコの対応
2025年3月、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、アメリカが25%の関税を課したことに対する報復として、アメリカ製品に対する関税を課すと発表しました。具体的な対象製品は後日発表される予定で、メキシコ政府は事態の沈静化を図っています。 https://www.wsfa.com
日本と中国の関係改善
一方、2024年7月23日、中国は日本製のステンレス製品に対する反ダンピング関税を撤廃しました。これは日本が世界貿易機関(WTO)に提訴し、WTOが中国の措置が協定に違反すると判断したことを受けたものです。 経済産業省
報復関税と相互関税の違いは?
◆ 報復関税(Retaliatory Tariff)
目的:仕返し・対抗措置
- 他国が自国に対して不当な関税や貿易制限をしたとき、その報復としてかける関税。
- 具体的な相手国と理由が明確。
- 「やられたから、やり返す」スタイル。
例: アメリカが日本の鉄鋼に高関税をかけた → 日本がアメリカの自動車に関税をかける。
◆ 相互関税(Reciprocal Tariff)
目的:公平な関係の実現
- 他国と同じ関税率を設定するというスタンス。
- 「相手が10%なら、こちらも10%にします」といった対等な取り決め。
- 仕返しではなく、「バランスをとる」ための政策。
例: ある国が自国に対して5%の関税を課しているなら、自分の国もその国の商品に対して5%の関税をかける。
✔ ざっくり比較表
項目 | 報復関税 | 相互関税 |
---|---|---|
性質 | 攻撃的・対抗的 | 対等・調整的 |
目的 | 不当な措置への仕返し | 公平性の確保 |
タイミング | 相手が先にやった時 | あらかじめ設定されることも |
相手国との関係 | 対立しがち | 協調・対話の余地あり |
イメージとしては、報復関税は「戦うための関税」、相互関税は「バランスを取るための関税」といった感じでしょうか?
今後はどうなる?
経済方針に関わらず、「トランプ2.0」の政策方針は先が読めないというところがあります。トランプ米大統領のファーストプライオリティは兎にも角にも、「アメリカ第一」なので、報復関税であろうが相互関税であろうが、アメリカが得をすればいいとかんがえているでしょう。

ということは、逆をいうと報復関税であろうが相互関税であろうが、アメリカが損をするなら止めることになるでしょう。 ポイントは高関税によるアメリカ産製品の売り上げUP vs インフレによる国内消費の低迷の天秤で前者が上回れば、「他国が苦しんでもアメリカ経済は上向いた」となり、後者が上向いた、中間選挙で共和党は敗北し、トランプ離れが始まると見てます。

まとめ
今回はトランプ関税について記事にしました。
なんせ、唐突で敵味方関係なく、関税率の算出方法もイミフなので、論じにくいところはありますが、世界経済、日本経済に大きく影響するのは間違いありません。
自動車産業をはじめ、仕事にも影響は大きそうですが、我々個人投資家にできるのは慌てず淡々と積立投資を継続するしかなさそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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